子どもが欲しい人と欲しくない人――夫婦で意見が違うとき、何を話し合うのか

子どもが欲しい。

でも、パートナーは欲しくない。

反対に、自分はまだ考えがまとまっていないのに、相手からは「そろそろ答えを出してほしい」と言われる。

こんなとき、どちらが正しいかを決めようとすると、話はかえって難しくなると思います。

まず知りたいのは、二人が本当に同じ問題について話しているのか、ということです。

例えば、一方は「今の収入では育てられない」と言い、もう一方は「お金なら何とかできる」と考えているかもしれません。

これなら数字を確認する意味があります。

けれど、相手が「そもそも親になりたくない」と考えていたら、収入の話だけを続けても答えは出ません。

問題は、お金なのか、時間なのか、身体への不安なのか。

それとも生き方そのものなのか。

私は、ここを分けずに話し始めることが、すれ違いの大きな原因になると考えています。

私にとって話し合いは、片方が勝つことではありません。

希望や条件を出し合い、重なるところを探すことです。

ただ、重ならないことだってある。

そこを無理に合わせようとしたら、話し合いではなく説得になってしまうと思います。

目次

「欲しい」「欲しくない」は何が違うのか

「今は無理」と「ずっと望まない」は違う

「子どもは考えられない」と言われたとき、相手は何を伝えているのでしょうか。

収入の見通しがないのか、出産や育児の負担を不安に感じているのか、あるいは親になる暮らしを希望していないのか。

言葉が似ていても、次に確認すべき内容は違います。

相手が伝えたこと考えられる意味次に確認すること
「今は難しい」現時点の条件が整っていない収入、勤務、住まい、支援など具体的な障害
「親になりたくない」条件と別に望まない意思がある親にならない人生をどう考えているか
「まだ分からない」情報や気持ちが整理できていない何が分かれば考えやすくなるか、いつ話すか

例えば「転職が落ち着くまでは難しい」なら、新しい勤務時間や収入を確認することで見通しが変わるかもしれません。

一方、「仕事が落ち着いても子どもは望まない」という答えに対して、育児休業制度の説明だけを重ねても、本人が話している核心には届きません。

もちろん、この表だけで相手の本心を判定できるわけではありません。

お金も不安だし、子育ての生活も想像できない、という人もいるはずです。

私が大切だと思うのは、推測した理由を事実のように扱わないことです。

「こういう意味で言っているのかな」と考えたら、そこは本人に聞いて確かめる。

違うと言われたら、自分の解釈を修正すればよいのです。

妊娠したい気持ちと、育てたい気持ちは同じ?

子どもが欲しい理由を詳しくすると、妊娠・出産を経験したい、子どもと暮らしたい、遺伝的なつながりを大切にしたい、今の相手と家族を育てたい、といった異なる願いが見えてきます。

いくつも同時に大切にしている人もいるでしょう。

どれが正しい願いかを評価したいわけではありません。

例えば、妊娠・出産への不安が大きい人に別の医療の方法を説明することは意味があるかもしれません。

しかし、子育てそのものを望まない人に方法だけを増やしても、問題の中心は変わりません。

国連人口基金の2025年世界人口白書は、子どもを多く望む人だけでなく、少ない人数やゼロを望む人を含む、生殖に関する自己決定を扱っています。

一方の希望だけを「自由」と呼ばないための視点になります。

「あなたとの子どもが欲しい」という気持ちも、愛情の表現として大切なことがあります。

ただ、受け取る側が同じ人生を望まなければ、愛していることの証明として妊娠や親になる選択を求められているように感じる可能性があります。

希望と現実の予定は違っていい

国立社会保障・人口問題研究所が2026年9月に公表した第17回出生動向基本調査では、夫婦の平均理想子ども数は2.18人、平均予定子ども数は1.95人でした。

数字で見る「理想」と「予定」

平均理想子ども数

2.18人

平均予定子ども数

1.95人

第17回出生動向基本調査・夫婦調査(2026年公表)。

数字は夫婦間の不一致の割合を示すものではありません。

この数字は集団の傾向を示すもので、夫婦の意見が対立している割合を意味しません。

特定の人が心の中で何を望んでいるかも、この数字だけでは分かりません。

ただ、「理想」と「予定」を別々に尋ねる必要があることは読み取れます。

話し合いでも、「親になりたいか」「いつなら検討できるか」「引き受けられる負担は何か」を分けると、答えが見えやすくなります。

望むことと、今すぐ進めることを同じ質問にしないためです。

「まだ分からない」を賛成とも反対とも決めない

相手が迷っていると、待つ側は落ち着かないかもしれません。

一方、迷っている側にも、健康、仕事、自分の生き方など、すぐ言葉にできない理由がある場合があります。

このとき役立つ質問は「いつになったら賛成してくれる?」ではなく、「何が分かると、今より考えやすい?」です。

必要なものが情報なら調べられますし、気持ちを整理する時間なら、どのくらいの間隔で話し直すかを相談できます。

ただ、ここには二つの立場があります。

迷っている人には考える時間が必要です。

一方、待っている人にも人生の時間があります。

私は、どちらか一方だけが我慢する話にしたくありません。

「まだ分からない」は今の答えとして受け止める。

そのうえで、待つ側がどこまで待てるかも同じように話してよいと思います。

異なる形の積み木で表した家と選択肢

相手の話を聞く。でも、自分の考えも残す

「本当は欲しいはず」をいったん外す

「お金が不安」という説明を聞けば、収入が増えれば前向きになると考えたくなるでしょう。

しかし、家計の問題が解決した後で、身体への負担や生活の自由について初めて話せることもあります。

理由が増えたからといって、必ずしも話が矛盾したとは言えません。

相手の理由を探るときは、自分が納得しやすい原因へ押し込んでいないかを確かめたいところです。

「もうその不安はなくなったのに、なぜ嫌なの?」と問い続けると、心配を一つずつ取り除かれるたびに、本人は新しい説明を提出しなければならなくなります。

相手が説明を一つ出すたびに、それを論破して次の理由を求める。

これでは話し合いというより、拒否できなくなるまで尋問している状態に近づきます。

理由を聞くこと自体は悪くありません。

むしろ私は、どうしてそう考えたのかを詳しく聞きたい。

ただ、聞いた答えが自分の想定と違えば、まずその違いを認めたいのです。

本人が望まないと伝えていることに、完璧な理由の証明までは必要ありません。

理解したことと、賛成したことを分ける

相手の事情を理解しても、子どもを望む自分の気持ちは残るかもしれません。

逆に、相手がどれほど子どもを望んでいるか理解しても、自分が親になる人生を選べないこともあります。

私は、相手に「分かった」と言えることは大切だと思います。

でも、それは「だから自分も賛成する」という意味ではありません。

例えば、相手が親になりたくない理由は理解できた。

それでも自分は子どもを望んでいる。

逆の立場だって同じです。

ここで初めて、意見が違う場所を正確に確認できた、と考えることもできます。

混同しやすい二つのこと実際に分けたいこと
「事情が分かった」=「賛成した」理解と同意は別
「心配を調べた」=「問題はすべて消えた」解消した条件と残る意思は別
「相談に行った」=「治療を進める」情報収集と治療への同意は別
「今は待つ」=「将来は子どもを持つ」保留と将来の約束は別

一度の話し合いで全部決めようとしない

子どもの話をすると、家計、家事、育児、親族、年齢、住居など、あらゆる問題が一度に出てきます。

どれも重要ですが、同じ時間に全部を解決しようとすると、二人が違う質問へ答えている状態になりがちです。

最初に「今日は結論を出す日ではなく、何が不安かを知る日」「今日は家計の数字だけ確認する日」と範囲を共有する方法があります。

途中で別の論点が見つかれば、今扱うか、別の日に話すかを決めればよいのです。

とはいえ、問題を細かく分けることが、結論から逃げる口実になってもいけません。

相手が「条件ではなく、親になりたくない」と明確に話しているなら、次に考えるべきは貯金額ではなく、その違いを持った二人の将来です。

同じ質問でも、聞き方で答えやすさが変わる

すれ違いやすい聞き方確認に近づく聞き方
「お金は何とかなるのに、何で嫌なの?」「お金以外にも大切にしていることがある?」
「普通は夫婦なら欲しいでしょ」「自分は子どもと暮らす未来を大切に思っている」
「病院に行ったんだから進むよね」「今日は何を知れた?次のことはまだ決めていないよね」
「考えが変わったなら約束違反だ」「前と今で何が変わったのか、聞いてもいい?」

聞くことと、答えを変えさせることは別です。

相手が今は話せないなら、無理に続けない。

その代わり、自分がいつまで待てるか、何を大切にしているかは、別の話としてきちんと伝える必要があります。

どこまで合意したのかを勝手に広げない

二人の希望を二つの円だと考えてみます。

重なっているところがあれば、一緒に考えられる範囲です。

ただ、円が重なっていないのに、どちらかの円を無理やり動かして重ねることは、合意とは違います。

例えば「家計を一緒に見直す」部分では重なっても、「子どもを持つ」部分では重ならないかもしれません。

私は、その違いを曖昧にせずに残すことが、相手への敬意だと思っています。

話し合いの終わりに、「今日決まったこと」と「決まっていないこと」を分けてみます。

「来月、勤務先の育児制度を調べること」には合意したとしても、「妊娠を目指すこと」まで決まったとは限りません。

調べる作業を一緒にした、病院へ同行した、収支表を作った。

それらの行動に意味はあります。

しかし、協力した分だけ相手が返礼として同意すべきだという取引に変えれば、自由に判断する余地は狭くなります。

「情報を一緒に調べること」には合意しても、「親になること」に合意したとは限りません。

私は、小さな合意を後から拡大解釈しないことが、話し合いを続けるうえで大切だと思います。


お金と仕事の不安は、数字と生活に分ける

計算機とノートで生活費を確認するイメージ

年間では黒字でも、苦しい月はない?

今の世帯収入なら何とかなる、という説明は、何の費用を含めた数字でしょうか。

妊娠・出産・育児には、毎月の生活費だけでなく、医療や移動の費用、一時的な支出、休業中の収入変化などが関わります。

次の表は考え方を示すための仮定です。

子育てに必要な金額、制度の支給額、標準的な家庭の収入を表すものではありません。

家計の場面(仮定)手取り合計/月生活費/月差額
平常時42万円36万円+6万円
片方の収入が減った月34万円36万円−2万円

この仮の家計なら、普段は月6万円残るのに、収入が減れば月2万円の赤字です。

そこへ通院費や一時的な支出が重なれば、年間収支だけを見たときと印象が変わります。

「貯金があるから大丈夫」と考える人もいれば、「赤字の月があること自体が不安」という人もいるでしょう。

どちらが大げさかを決める前に、何を心配しているのか確かめたいところです。

制度によっては、先に費用を支払って後から給付を受ける場合もあります。

「最終的に補助がある」と「支払う日の現金が足りる」は別です。

制度の対象、申請期限、支給時期は自治体や担当窓口の最新案内で確認します。

心配の中身を四つに分ける

お金が不安という人にも、月々の赤字、突然の費用、仕事に戻れない場合の収入、相手に経済的に依存することへの不安など、異なる事情があります。

世帯収入が十分でも、個人として自由に使えるお金がなくなることを怖いと思う人がいます。

見る項目確認することまだ不明なら
毎月の収支住居費、生活費、固定費、継続的な支出現状の明細や契約を確認
収入が減る時期休業、復帰、転職、勤務時間の変更人事・担当窓口へ条件を確認
一時的な支出医療、引っ越し、用品、立て替え見積りと発生時期を分ける
使えるお金共同家計と個人の支出、緊急時の管理金額だけでなく使い方の合意を考える

国立社会保障・人口問題研究所の調査では、理想の子ども数を持たない理由として、子育て費用や育児の心理的・肉体的負担が挙げられています。

ただし、調査の平均が個別の家庭に必要な金額を決めるわけではありません。

育児休業の制度があっても、実際に使える?

育児休業や柔軟な働き方の制度を調べるときは、名称を知ったところで止まらないことが大切です。

対象者、申出の時期、勤務時間、賃金への影響、復職後の配置、どの措置を選べるかまで確認して初めて、暮らしの計画へつなげられます。

厚生労働省は、2025年10月からの制度として、3歳から小学校就学前の子を養育する労働者に関する、柔軟な働き方を実現する措置を案内しています。

事業主には複数の措置を用意することなどが求められますが、個人が利用できる内容は勤務先の措置や条件の確認が必要です。

制度を使える側が、育児を全部引き受けなければならないわけではありません。

実際の勤務時間や収入への影響を確認しながら、もう一人にできることも整理する。

制度の有無だけで分担を決めてしまうと、生活の実態を見落とします。

親族と地域の支援は、約束された範囲だけ数える

「親が近くに住んでいるから大丈夫」と考えることがあります。

しかし、近くにいることと、必要な日時に預かってもらえることは違います。

親族の仕事、健康、本人の希望によって、対応できる範囲は変わります。

金銭的な援助なのか、急な送迎なのか、週に一度の家事なのかを具体的に確かめます。

行政や民間のサービスについても、料金だけでなく、利用の対象、登録、予約方法、対応時間を確認します。

助けがあるという説明と、困る時間帯に手が届くことは別です。


妊娠・出産の負担と、待つ時間を考える

「二人のこと」でも身体の負担は同じではない

妊娠・出産の希望が二人に関わっていても、身体的な変化や医療行為を二人で交代して経験することはできません。

一方が費用や家事を負担したとしても、もう一方の身体に起きることを代わりに引き受けられるわけではありません。

こども家庭庁の情報では、不妊治療の負担について、身体・時間・経済・心理など複数の側面が紹介されています。

この整理から分かるのは、負担を一種類にまとめられないことです。

何が最も大きな負担かは、本人の状況によって異なります。

例えば「費用は全部自分が出す」と言われても、相手が心配しているのは身体への処置かもしれません。

お金の回答を出したから、相手の不安がなくなったとは限らないのです。

こういうすれ違いは、善意からでも起こり得ます。

だからこそ、相手が困っている場所を先に聞き、その部分に合う情報を探したいと思います。

医療相談と、治療への同意を分ける

「まず相談だけしてみよう」と言う場合、その相談は何を知るためのものでしょうか。

妊娠や出産の見通しを聞きたいのか、検査について説明を受けたいのか、具体的な治療を検討したいのかによって、必要な準備は変わります。

段階この段階で確認すること自動的には決まらないこと
情報を集める一般的な選択肢、相談先検査を受けること
診察・相談を受ける今の状況、疑問、説明治療を始めること
検査を検討する目的、内容、負担、結果の意味検査後の方針
治療を検討する方法、費用、通院、リスク、本人の意思どこまで続けるか

妊娠や不妊の基礎知識を調べる場合にも、一般的な情報と個別の診断を区別します。

また保険適用の説明は、対象となる医療や条件についての情報であり、誰もが同じ負担額や方法で受けられることを意味しません。

例えば受診前に「今日は選択肢の説明を聞く。

治療を始めるかは別の日に考える」と共有できます。

病院へ一緒に行ったという事実を、次の医療行為への同意として扱わないためです。

検査や治療の具体的な進み方は状況で異なります。

こども家庭庁も検査・治療の方法を区別して説明しています。

医学的に検討できる方法があるという情報と、それを選ぶかどうかという本人の判断は別に残ります。

年齢が気になるとき、何を急ぐべき?

子どもを望む人にとって、年齢や身体の見通しは切実な問題になることがあります。

しかし、焦っていることは、相手の意思を代わりに決めてよい理由にはなりません。

同時に、相手が「まだ決められない」と答えている間、待つ側の時間的な負担が消えるわけでもありません。

ここで、一般的な妊娠・出産の情報と、個人の健康状態や検査結果に基づく説明を区別します。

例えばAMHは卵巣予備能の目安に関係する検査として説明されていますが、それだけで個人の妊娠のしやすさや将来の期限を決められるものではありません。

待つことを選ぶなら、医学的に確認したいこと、仕事などで変化を待っていること、考えるために必要な期間を分けておきます。

期限の見通しが必要なら、それを確かめる相談と、妊娠を目指すことへの同意を別々に扱います。

「しばらく待って」を曖昧な約束にしない

待つ理由には、仕事の配置が決まるのを待つ、医療の説明を聞く、自分の気持ちを整理するなどがあります。

この違いが共有されていないと、片方は準備期間と考え、もう片方は話題を止めたつもりになっているかもしれません。

保留するときに決めたいこと問いの例
何を待っているのか転職の結果?健康の説明?気持ちを考える時間?
その間に確かめること制度の条件?勤務表?今の希望の整理?
いつ再び話すか一か月後、状況が分かった時点など、互いに扱える時期
何には合意していないか妊娠、治療開始、親になることへの同意は未決定か
待てない場合はどうするか一人で相談する、関係を見直すなどの選択を残すか

なお、期限を決めることは、期限までに相手の考えを変えさせることではありません。

例えば「来月もう一度話す」はできても、「来月までに賛成する」は本人の気持ちを予定表どおりに変える約束にはできません。

予定どおりに気持ちが変わらなかった場合も含めて、自分たちがどう判断するかを残しておきます。

砂時計とノートで考える時間のイメージ

「育児は手伝うよ」で本当に分担できる?

一日の予定を、平日の時間帯で並べる

「子どもが生まれたら協力する」という約束があっても、誰が何時に家にいられるかは分かりません。

平日の朝から夜までの流れを、今の仕事や移動時間に重ねて考えてみます。

時間帯想定される用事確かめたいこと
朝起床、食事、準備、送迎両方が出勤する日は誰が対応できる?
昼勤務、園や病院からの連絡緊急の連絡を誰が受ける?
夕方迎え、買い物、夕食残業時の代案はある?
夜家事、入浴、寝かしつけ睡眠や休憩を誰が確保できる?
例外の日発熱、休業、交通の乱れ誰が判断し、どこに支援を頼める?

これは未来の正確な予測を作るためではありません。

今の勤務時間や住まいの条件では負担が集中しそうな箇所を探すための仮の予定表です。

現実に合わなければ、働き方、支援、住まいを見直すきっかけになります。

「言ってくれればやる」に残る負担

育児の作業は、手を動かす部分だけではありません。

例えば子どもの健診なら、時期に気づく、情報を探す、予約する、予定を合わせる、当日に連れていく、結果を共有するという流れがあります。

ここで「当日は自分が車を出すから、半分やっている」と数えると、その前の仕事が見えません。

健診がいつかを覚え、予約を取り、必要な物を調べる。

それを全部相手がしているなら、運転だけを分担しても負担が同じとは言えないでしょう。

「言ってくれればやる」は協力する意思の表れかもしれません。

ただ、何を頼むか判断し、毎回説明する仕事まで相手に残っていることがあります。

一つの仕事を最後まで見る

健診の予定に気づく

↓

対象や日時を調べる

↓

予約し、勤務と移動を調整する

↓

当日対応する

↓

次の予定を把握する

↓

実行する人だけでなく、全体を見て判断する人が誰かを確認

私は、何でも五対五にすれば公平だとは思いません。

仕事の時間や得意なこと、体調によってできることは違うからです。

ただ、相手が指示しなければ一つも進まない状態なら、表面上の作業量を半分にしても、考える負担は偏ったままです。

そこまで含めて分担を考えたいのです。

予定が崩れた日と、復職後も考える

普段は二人で対応できても、子どもが急に発熱したとき、誰が仕事を調整するかで負担が変わります。

連絡を受けた人が迎えに行けない場合、他の人へ頼む判断ができるか。

預かり先が使えない日にはどうするか。

例外が起きるたびに、一人の仕事と休息が削られる計画になっていないかを見ます。

出産直後の分担と、育児休業が終わった後の分担も同じとは限りません。

日常の手続きや連絡先を誰が把握するか、仕事に戻る前に情報や判断する役割をどう引き継ぐかも、将来の生活の一部です。

また、将来の約束が現実的かを、今の暮らしで少し確かめられることがあります。

家事の準備から片付けまで引き受けられるか、急な予定変更で自分でも代案を探せるか、できなかったときに役割を見直せるか。

これは親になる資格を点数化する試験ではなく、今の暮らしを支える改善にもなります。

改善しても、同意が得られるとは限らない

育児負担の偏りを改善できたなら、それ自体に意味があります。

ただし、改善に成功したから相手が子どもを望むようになるとは限りません。

計画が成立する可能性と、その生活を本人が選びたいかという問いは最後まで別です。

一方で、子どもを迎えることを二人で選んだなら、予定どおりに進まない場面も当然あるはずです。

大事なのは完璧な分担表を一度作って終わることではなく、実際に負担が偏ったときに「今のやり方は無理がある」と言い合い、修正できることだと思います。


話し合っても意見が違う。その先は?

二人で子どもを持たない生活を選ぶ

子どもを望んでいた側が、関係を続けることを重視し、二人で子どものいない生活を選ぶ場合があります。

ただし、最初から二人とも子どもを望んでいなかった場合と、望んでいた未来を手放して選んだ場合とでは、気持ちの経過が異なり得ます。

決めたあとも、喪失感や迷いが残ることがあります。

その気持ちを話すことと、相手に同意を迫り直すことを区別しましょう。

また、「こちらが大きく譲ったから、今後の希望は全部かなえてほしい」と、別の生活上の選択を負債の返済に変えないことも重要です。

これからの仕事、住まい、休日、交友関係、二人の過ごし方を選び直すことはできます。

子どもを持たない生活を、すべてを諦めた人生としても、必ず自由で後悔のない人生としても決めつけません。

二人が子どもを持つ方向へ進む

情報を集め、話し合ううちに、本人の希望が変わる場合もあります。

その変化を「説得に成功した」と扱うより、何が分かり、何を本人が選んだかを確認したいところです。

相手を失いたくない気持ちだけで答えを合わせていないかも、考えられる時間を残します。

進むと決めたら、通院、生活費、働き方、育児分担、必要な支援を実際の約束へ移します。

以前は望んでいなかった人が、これからの責任を一切負わなくてよいわけではありません。

一方、一度賛成したからといって、今後生じる身体的負担や生活上の問題について黙らなければならないわけでもありません。

子どもを迎えた後も、体調、仕事、子どもの必要に応じて役割を見直せることが重要です。

時間を置いて再び話す

答えが出ていないなら、何を待つのか、誰が何を確認するのか、いつ話し直すのかを決める方法があります。

ただし、期限を設定して答えを強制することとは違います。

期限までに状況が変わらない場合もあります。

そのときは、見通しが立たないまま関係を続けられるか、別の相談先が必要か、互いが判断します。

保留の約束を守ったことを、親になる同意として扱わないことも大切です。

関係を見直す

子どもを持ちたいという希望と、親にならない人生を選びたいという希望が、同じ関係では実現できない場合があります。

相手の意思が尊重されることと、自分がその関係を続けるか判断できることは両立します。

例えば、「子どもを持ってくれないなら別れる」と何度も迫って相手の答えを変えさせるのと、「自分はどうしても親になる人生を望んでいて、この関係を続けられるか考えたい」と伝えるのは、似ていても意味が違います。

相手を動かすための脅しにはしたくありません。

ただ、自分の人生の大きな希望を、話し合いのために最初から消す必要もない。

私はそう考えます。

婚姻している場合、関係を見直すことと、具体的な離婚・調停などの法律上の手続きは別の問題です。

裁判所は夫婦関係調整調停(円満)と夫婦関係調整調停(離婚)をそれぞれ案内しています。

子どもへの希望が異なるだけでどの手続きが成立するかは、個別事情を踏まえた法律上の確認が必要です。

考える道確かめたいこと注意点
持たない生活を選ぶ二人が何に合意したか、残る気持ちをどう扱うか一方の我慢を無期限の貸し借りにしない
親になる方向へ進む現在の意思、身体への同意、実際の生活と役割説得への「お返し」にしない
いったん保留する理由、次の確認時期、待つ側の限界保留を将来の同意とみなさない
関係を見直す住まい、仕事、費用、必要な法的相談別れを同意獲得の脅しにしない

重なる部分を探すのは大切です。

でも、何を話しても重ならないことはあります。

無理やり一致させず、「二人の望む未来は違う」と認めることも、一つの結論です。


二人で答えが出ないとき、誰に相談する?

向かい合う二脚の椅子とテーブル。パートナーとの相談のイメージ

何を聞くかで相談先を選ぶ

相手と話しても答えが出ないとき、私は「この問題は、誰に確認すれば事実が分かるのか」を先に考えたいと思います。

専門家にも、それぞれ答えられる範囲があります。

医学的に可能かどうかと、それを二人が望むかどうかは、同じ質問ではありません。

同じ「子どもについての相談」でも、質問の種類によって確かめる相手が変わります。

妊娠の可能性や検査を知りたいなら医療機関、意見の違いを整理したいなら心理・関係性の支援、婚姻や財産・子どもの手続きについては法律相談、と役割を分けます。

相談したい内容確認先の例相談の目的
健康や妊娠・治療の見通し医療機関、専門の相談窓口医学的な情報と選択肢を理解する
気持ちや対話の整理心理相談、カップルへの相談支援など双方の希望を正確に理解する
仕事・育休・給付勤務先の人事、自治体、公的窓口利用条件と日程を確かめる
婚姻・親子関係・離婚法律相談、裁判所の案内個別の手続きや法的影響を確認する
自由に断れない・怖い安全に利用できる被害者支援窓口本人の安全と相談方法を先に確保する

こども家庭庁は、妊娠・不妊に関する情報や相談窓口を案内しています。

ただし、相談先によって対応する範囲は異なります。

最初に「どの質問に答えてほしいか」を伝えられると、必要な窓口へつながりやすくなります。

二人で相談するか、一人で相談するか

相手と一緒に相談することが常に唯一の方法とは限りません。

自分の気持ちを整理するため、一人で医療・心理・法律の相談先を利用する選択もあります。

二人で相談するときは、個別に話した内容がどう扱われるか、結果をどこまで共有するか、連絡先や記録の方法などを確かめます。

相談に行った事実だけで、どちらかが賛成したことにはなりません。

私は、相談の成果を「専門家がどちらの味方をしたか」で測るべきではないと思います。

分からなかった事実が分かったか。

お互いの解釈が合っていたか。

次の判断に必要なことが整理できたか。

そこを見たいのです。

安全に「嫌だ」と言えない場合は別

話し合いの場が対等ではないときは、この記事の会話例をそのまま使わないでください。

反対すると生活費を止められる、怖くて拒否できない、望まない性行為や妊娠・中絶について圧力を受ける、といった状況では、安全と意思の自由を優先する必要があります。

内閣府男女共同参画局は、配偶者などからの暴力について、性的行為の強要や避妊への非協力などを含めた具体例と支援情報を公開しています。

自分の状況が法律上どの分類に当たるかを確定できなくても、相談を考えてかまいません。

連絡先を見られる可能性がある場合には、安全に連絡できる方法も相談窓口へ伝えます。

二人での話し合いを優先して状況を悪化させる必要はありません。

精子提供・養子縁組で埋まらない違い

妊娠の方法についての課題があるときには、生殖医療や第三者からの精子提供などが話題になる場合があります。

しかし、妊娠の方法の違いと「自分が親になりたいか」という意思の違いは同じではありません。

本人が親になりたくないのであれば、別の方法で子どもを迎えられる可能性を示しても、その意思の違いは残ります。

逆に、家族を望んでいて医学的な方法が分からない場合には、医療者に具体的な情報を確認することが役立つかもしれません。

第三者からの提供を検討する場合には、本人とパートナーだけでなく、提供に関わる人や生まれる子どもの情報、法律上の親子関係なども確認する必要があります。

法務省は、生殖補助医療と親子関係に関する法律について案内しています。

その案内だけで、全ての提供経路・家族の状況に同じ法律上の結論が当てはまるわけではありません。

養子縁組や里親制度も、単なる「妊娠しない代替手段」ではありません。

こども家庭庁は、いずれも子どもの生活や福祉に関わる制度として説明しており、法的な関係や目的が異なります。

子どもを迎えることを、夫婦の意見の中間を取るための方法として急がないことが大切です。


親の希望と、子どもの暮らしを混同しない

子どもが二人の問題を解決するとは限らない

子どもと暮らす未来を楽しみにすること自体を否定する必要はありません。

一方で、家事が偏っている、二人で話せない、相手との距離が広がっているといった問題を、子どもが生まれることで解決すると想定するのは別の話です。

子どもは、親の望む未来を実現するための道具ではありません。

家事がうまく分担できていないなら、今から話し合えるはずです。

相手の考えを聞けていないなら、まずそこから始められます。

子どもが生まれれば全部よくなる、という期待よりも、今の二人がどんな暮らしを支えられるのかを確かめたいところです。

子どもの利益を、相手への説得材料にしない

こども基本法は、こども施策の理念として子どもの意見の尊重や最善の利益の優先的な考慮を掲げています。

これは、個々の夫婦に「産むべきか」を判定するための基準ではありません。

本稿では、この考え方を、大人の希望だけでなく、実際に子どもが暮らす条件を確かめる視点として扱います。

毎日の養育を担える人、必要な医療や支援へのアクセス、休める環境などを、具体的な生活として考えます。

「その考えでは子どもがかわいそう」と一言で評価するより、心配なのは生活費か、養育時間か、安全かという点を具体化しましょう。

気になる事実が分かれば、何を確認し、どんな支援を考えるべきかが見えてきます。

すでにいる子どもには別の配慮が必要

二人目以降で意見が違うとき、今いる子どもの生活は特に重要です。

きょうだいがいれば必ず幸せになる、いなければ必ず困る、と単純化することはできません。

今の子がどんな生活を送り、何を必要としているかを確かめます。

子どもの年齢や発達に応じて意見を聞くことは考えられますが、妊娠や出産を決める責任まで子どもへ負わせません。

また、親が過去に迷ったことを、「あなたのために諦めた」といった形で子ども自身の責任に変えないようにしたいところです。

親の中に整理し切れない思いが残っている場合、子ども以外の相談先や支援へつながることもできます。

大人の気持ちと、子どもが安心して暮らせることを、両方とも大切に考えます。


話し合いの最後に、事実と気持ちを整理する

事実・推測・希望・未確認を分ける

例えば「会社に確認したら育休の対象だった」は確かめた事実です。

でも「育休が使えるなら相手は安心するはず」は、自分の推測にすぎません。

自分の中では筋が通っていても、相手が同じように感じるとは限らない。

だから私は、どこまでが事実で、どこから自分の解釈なのかを分けて話したいのです。

区分書き方の例次にすること
確認した事実勤務先から対象条件の説明を受けた資料と確認した日を残す
本人から聞いた意思今は親になることを望まない本人の現在の答えとして扱う
推測制度を使えば安心すると思う本人へ聞き、答えを決めつけない
自分の希望子どもと暮らす未来を望んでいる相手の希望と別に言葉にする
未確認休業中の手取りや支援の開始時期担当窓口で確認する

この整理は、相手の過去の発言を責める記録にするためではありません。

制度や体調、働き方は変わりますし、本人の意思が変わることもあります。

記録を残すなら、何のためか、誰が見るかを共有します。

理解できても、同じ未来を選ぶとは限らない

子どもが欲しい人には、その人なりの未来があります。

欲しくない人にも、そう考える理由や生き方があります。

どちらか一方を正解にして終わらせるのは簡単ですが、それでは二人がどう違っているのかが見えなくなります。

仕事やお金が問題なら、確認して改善できることがあるかもしれません。

育児分担が不安なら、今の生活から見直せる部分があります。

身体への負担や医療のことなら、正確な情報を得ることに意味があります。

しかし、その全てを確認したとしても、相手が親になることを望むとは限らない。

私は、この最後の部分をごまかしてはいけないと思います。

分からないことは調べる。

推測は本人に聞き直す。

相手の意見を理解したからといって、自分の意見まで消さない。

でも、相手が同意していないことを、同意したことにも絶対にしない。

互いの希望が重なるなら、そこから具体的な生活を考えればよいと思います。

重ならないなら、重ならないままどうするかを話す必要があります。

話し合いは、相手を自分の思いどおりに変えるためのものではありません。

相手を理解したうえで、自分がどう生きたいのかも考える。

そのための時間であってほしいと思っています。


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